京陽小学校の授業では、主に「Raspberry Pi」(ラズベリーパイ)というシングルボードコンピュータを使っています。さらに「Scratch」(スクラッチ)という子供向けの教育用プログラミング言語を使用しています。では、これらを使った具体的なプログラムの作成方法についてみていきましょう。
まずは「○○度に向ける」「座標を××ずつ変える」など、日本語で書かれた命令ブロックをメニューから選びます。選んだ命令ブロックを順番に並べるだけでプログラムを作成できるのです。難しいプログラミング言語を覚えなくても取り組めるので、小学生の低学年でも抵抗なく操作できます。
簡単に身に付けられるプログラミングのスキルに注目した京陽小学校は、「子どもが子どもに教える」という試みを行っています。それは、6年生の市民科(品川区独自の教科)の授業の中で、6年生が1年生とペアを組み、マンツーマンで指導するというものです。
例えば、6年生が自分で開発した、足し算問題ゲームやキャラクターを動かすアニメーションなどのプログラムを教えていきます。さらに教えるだけではなく、「どのような教え方をすればよいか」といった指導計画も6年生に任せていました。
一方で、当初は、同じ6年生でもプログラミング能力に差があって、苦手な子どももいたといいます。ですから、教員はプログラミングが苦手な6年生が1年生を指導できるものかと心配していたそうです。実際は、プログラミングの得意な子どもが苦手な子どもにアドバイスするなどの学び合いの行動が徐々に出てきて全員がレベルアップしました。
このようにプログラミング教育を取り入れることによって、京陽小では、子どもの学習意欲が高まりました。さらに、上級生が下級生に教えるまでに至ったことは大きな成果だったようです。その中で、子ども同士が学び合うようになり切磋琢磨しながら成長していく姿が見られたということです。